みなさんは、「テープ起こし」というと、どのようなイメージを持つでしょうか?咳払いや、相槌、ノートをめくる音、それらすべてを文字に起こしたものを想像するでしょうか?それとも、必要な発言だけを簡潔にテキスト化したものをイメージするでしょうか?実はいずれが正解、不正解ということはなく、両者とも用途に応じて使い分けられるべきものです。
とはいえ、テープ起こしを依頼する際には、いずれの方法をお願いする場合でも共通して押さえておくべきポイントがあります。具体的に見ていきましょう。
- 逐語テープ起こしとは
訴訟事件、保険請求、医療関係のテープ起こしなど、特別な業界の案件のほとんどは、発言されたすべての言葉、発生したすべての音の書き起こしを必要としています。
なぜなら、法的文書および保険請求に関する訴訟では、ささいなことでも原告または被告の有利不利が変わり、何百万ドルもの金額がかかる判決に影響を及ぼす可能性があるからです。
そのため、逐語テープ起こしでは、背景ノイズ、イベントノイズ(ブリーフケースを開く、テーブルにカップを置く)、咳、くしゃみ、笑い、またはその他の私語など、利用可能なすべての音や声を書き起こす必要があります。
また、アクセント、方言、俗語、単語の繰り返し、停止、吃音、「Umm」、「Ahh’s」、これらすべてが言葉のニュアンスと文脈に大きな差をつけます。 テープ起こしの担当者は読み手がまるで実際現場にいるかのように感じさせることが大切です。
- 簡潔なテープ起こしとは
一方で、会話やプレゼンテーションを理解するため、包括的な要約のみを書き起こせば十分で、すべての音を捉え、文章化する必要がない場合には、どのように発言されたかではなく、なにが発言されたかを優先する簡潔なテープ起こし(clean transcription)の方が適しています。このテープ起こしは、会話の正確な要約をお届けするため、不必要なノイズや声を取り除きます。元の会話の意味、文脈、調子またはペースを変えず、重複する言葉や、会話の途切れ、主題と関係のない発言が削除されるため、容易に内容を理解することが出来ます。
このように、2つのテープ起こしの手法は大きく異なるため、発注する際には、用途に応じていずれが適切かを選択する必要があります。
- 発注時に留意したいポイント
費用を最小限に抑えたいからといって経験の浅いテープ起こし作業者に仕事を依頼すると、結果的に費用がかさむことになる可能性があります。たとえば、日ごろ、YouTubeビデオの書き起こしを行うフリーランサーが逐語テープ起こしを受注した場合、音声の周囲のノイズを認識し、それを原稿に正確に記録する経験はありません。 同じように、関連業界の経験が不足している作業者は、専門用語や業界用語を認識したり、会話中の文脈を理解したりすることはできません。
このような場合、改めて経験が豊富で、質の高いテープ起こし作業者に依頼しなければならない可能性があるのです。発注する相手がどのような経験があるのかを事前に確認することは非常に重要です。また、 納品された原稿の品質が期待したものと大きく異なることもあります。それは、経験豊かで優れたテープ起こし作業者であっても、音声ファイルの品質によって十分に力を発揮できないことがあるからです。特に逐語的なテープ起こしを依頼する場合は、できる限り最良の音声を提供することが必要です。
いかがでしたか。テープ起こしの原稿の用途によって採用すべきテープ起こしの手法は異なります。また、発注する相手の経験や実際のテープの音質によっても期待した納品物を得られるかどうかは変わってきます。納得のいくサービスを受けられるよう、事前に確認や準備をされることをおすすめします。