エンターテインメントを始めとした動画・映像コンテンツにおいて、観客や視聴者の理解を助けるために用いられるもののひとつが強制字幕(FN字幕)です。強制字幕は、通常の字幕やキャプションなどのように視聴者が選択したり、特定の観客が観るバージョンにのみ付けられたりするものではなく、常に画面上に表示される文字情報です。つまり、「外国映画を理解するための字幕」ではありません。この記事では、FN字幕の意義と多様な使い方を探ります。
強制字幕(FN字幕)とは?
強制字幕とは映像の画面上に表示される文字列で、通常の字幕と違って非表示にはできません。目的は、それ以外の方法や映像、音声では伝えられない情報を視聴者や観客に提供し、ストーリーや話の流れを理解してもらうことです。
ストーリーの理解を助ける強制字幕
強制字幕がどのような場合に使われるのか、例を挙げて見ていきましょう。
1. メインの言語以外の言語での発話
例えば主に日本語の話者に向けられた日本語のストーリーの中で外国語を話す人物が登場する場合(例えば2023年、こんなドラマが話題になりました)、「外国語による発話」ということ自体が意味を帯びます。ですから、その発話を吹き替えるのではなく、字幕として表示することで、発話内容の意味と、それが別の言葉で発せられたということを同時に示すことができるのです。架空の言語による発話に当てられる字幕も同様の意味合いを持ちます。
2. 外国語などの文字情報
画面上に表示される外国語の文字列、標識、ラベル、さらに登場人物にしか分からない記号やサインなどが重要な意味を持つ場合も、字幕で意味を表示することが物語理解の鍵となるでしょう。
3. 手話
手話によるコミュニケーションが描かれている映像の場合、字幕がなければ手話を理解しない視聴者・観客は、話に取り残されてしまいます。手話と音声言語を共に強制字幕として表示すれば、聴覚に障害のある人とない人の双方に向けられた、よりインクルーシブな作品にできるかもしれません。
4. メインの言語での発話内容の明確化
例えばドキュメンタリー作品などで、録音された言葉が雑音にかき消されたり、一部不明瞭であったりする場合、そのままでは事実やメッセージを伝えることが難しくなるでしょう。そのような場合にも、作り手が、発話内容を文字情報として示すケースがあります。
5. 科学や歴史、文化などの背景情報
視聴者・観客にとってなじみのない背景知識が、ストーリーの流れや作品の意図を理解する上で欠かせない場合、発話された内容とは別の情報が画面上に表示される場合もあるでしょう。例えば、業界用語の解説、単位の換算、歴史や地理的な背景、科学的なバックグラウンドなどです。
質の高い強制字幕
強制字幕は、視聴者・観客の理解を助け、より良い視聴体験をもたらすものです。適切な字幕の挿入により、効果的なメッセージの発信が可能になるのです。
ボックスタブでは、テープ起こしをした内容を別の言語に訳して字幕にする一般的な「外国語字幕」や、クローズドキャプションに加え、そして、動画・映像のメッセージを的確に伝えるための強制字幕の制作も行っています。多くの人々に動画を届けたい、そんな作り手の思いに寄り添って細やかなサービスを提供しています。
まとめ
強制字幕(FN字幕)は視聴者・観客グループによって表示・非表示されるか非表示になるかが分かれるものではなく、常に表示されるものです。強制字幕が用いられるのは、物語の中で第2、第3の言語が発話される場面や、外国語の文字情報、手話などが登場する場面など多くのシチュエーションが考えられます。いずれの場合も、観客や視聴者に対し、意図したストーリーやメッセージを正確に伝えることがその目的です。