近年、音声入力ソフトウェアの技術革新が著しいと言われています。音声入力ソフトウェアとは、音声(会話)を認識し、自動的に文字に書き起こしてくれるソフトウェアです。この技術がさらに進歩すると、いつかパソコンと人間が会話できる日も来るのかもしれません。しかし、現状では、まだまだ音声認識の精度や反応速度は低いとされ、利用者にとって使いやすいとは言えないようです。ここでは、音声入力ソフトウェアの長所と短所を取り上げてみます。
【長所】
• 利便性:
キーボードやマウスを使えないような身体的障碍を持つ人にとって、音声入力で文章を作成できるのは大きな利点です。
• 誤りの検出:
標準的なワープロソフトと同じ校正機能があります。100% 正確というわけにはいきませんが、多くのスペルミス・文法的誤りを指摘できます。
• 速度:
普通の人が手でタイピングするより速く音声を認識できます。つまり、自分の考えを指で入力するより、話して文字化するほうが速い、という場合があり得ます。
• 専門化 :
音声入力技術は、医療分野でかなりの成長を見せてきました。たとえば、医師が音声で直接電子カルテに書き込みをする、といったことが可能になっています。このようなソフトウェアには医療用語が組み込まれています。
【短所】
• ソフトウェアの導入と研修に時間がかかる:
インストールすれば数分で使えるようになる、と宣伝されてはいますが、現実には、使う人の発音や発声の特徴を事前に登録したり、機械に認識させたりするのに複雑な操作が必要です。
• 頻繁に中断する:
音声認識の処理に時間がかかり、数文ごとに間が空くこともあります。事前に登録しておいた音声データから少しでも発音や発声が変わると、ソフトウェアに認識できなくなることもあります。
• 語彙の限界 :
登録されていない語句を使うと、ソフトウェアは認識につまずき、作動に遅延が生じることがあります。
音声認識ソフトウェアがあれば、わざわざテープ起こし会社に依頼する必要もなく社内で処理できるようになるため、確かに効率は上がるでしょう。さらに、コストも抑えられるかもしれません。しかし、導入までに必要な時間や、正確な文章を入手できるようになるまでのチューニングにかかる時間を考えると、テープ起こし会社に依頼するほうが時間の節約になることは間違いありません。もし、音声認識ソフトによって作成された質の悪いテープ起こし原稿を自力で直してもかまわない、という人であれば、ソフトウェアを使うのも一案でしょう。しかし、ビジネスや学術、医療現場など、専門性の高い内容のテープ起こしを迅速に必要な方については、テープ起こしの専門業者に頼むのが、いまなお賢明だと言えます。